2023年読書感想文

今年は仕事の切れ目で3月まで休みだったので相当読めました。記録によると何と316冊。すご!

しかしそれでもぜんぜん減らない積読。その解消と息抜きを兼ね、秋に鬼怒川温泉で一人合宿したのですがフロントで「クマ出るから気をつけてくださいね😉」って言われてビビった(生還した)

さてそんな読了のうち、新刊で各ジャンルごとに良かった5位まではこちら

🏆 国内ミステリ 翻訳ミステリ 技術書
1 アリアドネの声 ニードレス通りの果ての家 GitLabに学ぶ
2 でぃすぺる 恐るべき太陽 単体テストの考え方/使い方
3 鵼の碑 8つの完璧な殺人 プロダクトマネージャの仕事
4 可燃物 グッゲンハイムの謎 実践プロパティベーステスト
5 ちぎれた鎖と光の切れ端 卒業生には向かない真実 スクラムの拡張による組織づくり

ぜんぶいろいろ言いたいのですが3冊ピックアップして紹介。は読んだ人向け。

鵼の碑

鵼の碑 (講談社ノベルス) 今年の読書の思い出といえば、この本。長さゆえ詰んでた 塗仏の宴 から予習を進めたのですが、まず塗仏がおもしろすぎた! ラストで (これ志水アキさんのキャラデザも見たいなあ) そんな温まった状態で読んだし、初めて新刊で読めるわけだし、相変わらずよくわかんない分厚さだし、珍しく目次がちゃんとあるし(たぶん初めて)、で非常にわくわくする読書体験でした。

百鬼夜行シリーズは昔友人に紹介されたのが初めての出会い。奴はとにかく妖怪が好きで、妖怪会議のようなイベントによく誘ってくれました。“映画「妖怪大戦争」のエキストラに応募しよう、演りたい妖怪を一つ選んでおいて” と言われ困った思い出

そういうイベントに登場する京極夏彦は作家というより、水木しげるを持ち上げつついじるおもしろい司会の人。そんなわけで『姑獲鳥の夏』も「ページの切れ目に謎のこだわりがある妖怪の本」として紹介され(当時ぼくが新本格ムーブメントわかってなかったこともあり)これがミステリで、しかも金字塔であることを認識するのは少し先のこととなります。懐かしい

しかも

今回サインに書かれる感じはどうやらヌエを構成する要素のいずれかがランダム。そこで「鵼」を引きました。これは奴に自慢ができる

ニードレス通りの果ての家

ニードレス通りの果ての家 各種ランキングでは振るわなかったけどオススメの本がこちら。すごいオススメなのだけど何も言えない! 察しつつ、でもあまり察しすぎずに読んで欲しい。視点人物が入れ替わりながら進行します。なにか事件が起きてそうな雰囲気があります。これはどう考えても「信頼できない語り手」だよなあと思いながら渋々読み進めることになります。2章なんか、この語り手もしかして猫か?と思ったらやっぱり猫です。黒猫が語り手のミステリが好きな人はもうこの時点で買いでお願いします。

最後まで読むと印象が変わってホラーになるタイプのミステリは多いですが、これは感動作になる、そんな作品なんです。著者による後書きがついており、ミステリ世界でと思わせられました。

血染めのエッグ・コージイ事件

血染めのエッグ・コージイ事件 (扶桑社ミステリー) 新刊以外から1冊。Dミスの詳しい人に教えてもらったこちらが大当たりでした。いわゆるカントリーハウスミステリなのですが、コメディか?というくらい、ぎゅうぎゅうにいろんな属性の客が集まります。武器コレクター、好奇心旺盛すぎるお嬢様、国際的に重要な指名を帯びた密使、極めつけに怪盗(笑)。ある晩、事件でいっきに情報が爆発します。ええそれはもう盛大に。

いわゆる不可能犯罪なのですが、そこでもタイトルの「血染めのエッグ・コージイ」しかり(エッグ・コージイこの本で知った)要素がてんこ盛りで楽しい。そもそも最初に館モノらしく見取り図があるんですけど、「秘密通路」ってバッチリ書いてあるんすよね(秘密じゃないんかいっていう)。そんでメイントリックたるや、一度読んだら忘れられなくなること間違いなし()。あと大戦前夜ヨーロッパの空気感が漂うスパイ物としての成分も終始雰囲気あって最高。だいぶ大変な事件が起きたあとのはずなのに、爽やか👍 と言える終わり方。好き。