2022年読書感想文

29 December 2022

今年はミステリを中心にかなり読書することができました。各地に投下した感想とも被りますがあらためて、思い出に残る5冊ピックアップして感想。(ネタバレ)はクリックで表示

月灯館殺人事件 - 北山猛邦

みんな大好きクローズドサークルでの連続殺人に新たな趣向のバージョンが。この定番シチュエーションものミステリをすでに何冊か読んでる人に特にオススメ!

特徴として、この館の住人みんな推理作家(ちなみに曲者ぞろい)。作家がカンヅメになって原稿を仕上げるために提供される居住スペースという設定。で、こういうミステリ作家/作品が多数登場するメタな作品、だいたい作者のミステリへの愛憎があふれてヤバいのですがこの作品も心配になるくらいのヤバさが良いです。

もちろん北山作品の定番、物理トリックもガンガン出てきます。「それ一発で成功したらスゴいけど〜。ま、成功してるからいいか!」という絶妙な出来上がりを楽しませてくれます。(見取り図におもむろにが出てきたときには、あとで絶対つかうやーつwとツッコんでしまった

なんといっても読んだ人ならわかる、再読が楽しい! 特にやってくれた。そうは言っても、この辺もピタゴラ物理トリックのギリギリセーフな面白さに近いものがある。

名探偵のいけにえ - 白井智之

白井作品はこれまで2冊も途中で挫折してまして(融合するやつと、口からunkoのやつ!)もう近寄らないと決心していたのですが、話題に。しかもみんな口々に、グロがない言うんですよ。そういうフリいいからwと疑いつつ流石に違いそうで、読んだら超怪作でした。カバーデザインが違うけど『名探偵のはらわた』シリーズもの。あれは最後まで読めた。名探偵のシリーズはグロ封印なのか。シリーズ次回作も楽しみなので次回もグロなしで頼む←裏切られそう

探偵がとあるカルト教団のコロニーに人探しに行き、信仰/信者に驚愕しつつ、怒涛の展開(そういえば『はらわた』もジェットコースターストーリーだった)。設定と要素がどっさり出てきたころ、探偵による解決編演説が始まる。後半ずっと解決編。テキストの多すぎるHxHみたいなところがある。フェアであるので、謎を解きたいパズル好きな人は挑戦できるやつだと思う。

『はらわた』から読まなくても大丈夫。だけど『いけにえ』読んだら絶対『はらわた』読むことになると思う。ところで、ここでぼくの妄想を聞いて欲しい。はらわた/いけにえ 両方読み、かつ「剣崎比留子シリーズ」全部読んでる人向け→

首切り島の一夜 - 歌野晶午

今年最大の問題作。巷にあふれている感想も「困惑」これに尽きます。

とある島に、高校の修学旅行再現ツアーで来ている60歳手前の男女。そこに死体が…。序盤にこの事件を予言したかのような?メンバーが高校時代に書いたという作中作が出ていたり、ミステリ的に回収がすごくありそう。各人の過去がわかっていく展開もぐいぐい読ませる。この面白さが最終章まで続き、突然、終了。茫然。いちおうのだけど、そうじゃない何かぜんぜん足りていないのよ。

カバー裏表紙に続きがあることに気づく。しかしこれがわからない、何かありそうすぎる感だけさらに高まる。そしてこの部分がプルーフ段階では無かったらしいこと、さらに電書版だと最初ついていなかった(が、のちにupdateで追加された)などの情報が混乱に拍車をかける。という本。

普段なら、合わなかった。で終わりそうなこの本、今年は読む本のネタを求めてDミス研に入れてもらってたので、あえてこのわからん論争に参加、杉江さんのコメントなんだろうとか考察会議したり、有識者の感想を拾い聞きしたりして盛り上がれたっていうのが、振り返れば読後体験としておもしろかった…な

納得いかないところもあるのだけど、ミステリ慣れてる人ほど想定しちゃうパターンにハメることで意外さを出す、というゴリゴリのアンチミステリをぶちあげたかった?(見事ハマったが何か)と解釈している。今年一番たくさん回数読み返した本であるのは間違いない。帯を書いた担当、ほくそ笑んでるだろうな。。。(#^ω^)

日本殺人事件 - 山口雅也

これは、変な本を読んだ笑という思い出。ニンジャスレイヤーみたいな、謎な日本を舞台に「ドーモ」みたいなカタカナが多用される。山口さんが「とあるアメリカ人のマイナーな著作をみつけ和訳したものです」というていの本。現代日本らしいけど、サムライがいたり、オートバイ人力車が走っていたりする。そんなカンノン・シティ(ちなみに相模県)にやってきて探偵業を始めるサムの事件簿。

サムは日本語いけるが、文化的なものは何もかもが未知なので見るもの聞くもの驚きを持って記述される。読者にとっても、ここ一体どういう日本??ということで新しくはある。ただ例えば「セップク」と聞いてセップクとは何ぞ?!となるサムに対し、読者は「切腹」はわかるわけで、探偵より読者の方がちょっと明かされる情報が多いミステリになってるのが面白いところ。

春にして君を離れ - アガサ・クリスティー

当初はクリスティじゃない名義で出された、殺人とか探偵は出てこない作品。単に「なんかかっこいい和訳タイトルで読んでないやつ読むぞ企画」で手に取ったのだけど、これはすごい本だ。もっと早くに読みたかった気持ちはぐっと抑え、少なくとも自分は今年こうして、自主的に読むことができてよかったと思っている。

わたくし、ロンドンに住む主人公ジョーン。我ながら…よく主婦業こなしてきたと自負しておりますの。遠くに嫁いだ次女の病気の様子を見てからイギリスへの帰途、天候悪く足止めを喰らってだいぶヒマ。ヒマすぎますわー! ふと、いろいろ思い返す時間ができてしまう…。そういえば、先日思いがけず再会した女学生時代の友人、彼女はなぜあんなことを言ったのかしら?

あ〜なんかこういう人、現代もSNSにいるな〜。1944年の作品ながらすごいな〜と読み始める。なんだけど、読み進むうちに、いや違う…! 印象深いのは、ジョーンが鏡で身だしなみを確認するシーン。ジョーンが鏡を覗いて自分を確認するたび、小説からこちらを覗き返されているような感じさえある。こわいよ!

この作品を忘れられなくするのはなんと言ってもエピローグの最後。えっっ 止まる。ま待ってくれ 

数年後また読みたい