入手できなくなるのを恐れとりあえず買って箱詰めしていた、ホームズパスティーシュを読み進める苦行が2年くらいかけて一旦終了したので、記憶に残る本をいくつか並べておこうと思います。ちなみに驚くはこのジャンルの圧倒的な「翻訳者 日暮雅通」率の高さww!! 偉大すぎる
正統派
正典準拠な世界で描かれる作品では、「語られざる事件」をやっているこのへんが楽しかった。しっかり寄せようという努力があるのと、なぜ語られなかったのかの理由の付け方とかおもしろい。ただ読んでいると、夢の続きを延々と見ているような空虚感も若干ある。
そういえば「絹の家」 とか、合わなかったなあ。ホロヴィッツならもっと寄せた上で面白い感じにしてくれると期待していたのですが。
対決企画
おもしろパスティーシュといえば対決企画!!
中でも vs 切り裂きジャック は1つのジャンルと言えるほど大量で、ホワイトチャペルというワードが出てくるたび(これも切り裂きジャックものかぁ)と食傷気味なくらい。クイーンのやつは、時代の差があってエラリイ視点からは回想の殺人になっている形式がおもしろかったかな。なぜ正典で触れられていないのか、の理由付けとしては「ガス燈に浮かぶその生涯」は納得感あった。
その他、古くはアルセーヌ・ルパンを始めあらゆるものと対決(対決していないのもある)させられてきたホームズですが、特に火星人と戦うやつは「宇宙戦争」とのダブルパスティーシュになっていることに加え正典への裏読みも大胆で面白かった。
こうなるとだんだん、もっとトンデモないものを読みたいジャンキーになってくるわけですが(しかし一発ネタじゃないのを希望)、その意味では最近でたクトゥルフ対決サーガがおもしろかった。おいおい…嘘だろ…wって設定をその勢いのまま3部作完結までやってくれた力作
掘り出し物
というわけで長年にわたって書かれ続けてきたホームズのパスティーシュですが、出版から時間がたった今だからこそ注目されてもいいんじゃないかなあと思った作品がこちら。2004年に出版された、いわゆる「大空白時代」ジャンルの作品です。ところで、
その後の2009年にBBC SHERLOCKがクリティカルヒットして今でも大人気ですよね。そしてその主演ベネディクト・カンバーバッチが2016年、MCUに参画しドクター・ストレンジを演じ、これもまた個人的にも大好きです。
つまり(?!)、現在こういう画をどうしても思い浮かべてしまうと思うんです。

まさにこういうのが読みたいって人におすすめなのがこの「シャーロック・ホームズの失われた冒険」。ホームズがドクター・ストレンジよろしくチベット地方で修行。ホームズ愛とチベット愛に溢れた稀有な一冊です。